はじめに
― 転職会議の口コミを放置するリスク
近年、採用活動において「転職会議」などの口コミサイトを確認することは、求職者にとって当たり前の行動となっています。
そのため、ネガティブな口コミを放置することは、企業にとって以下のような深刻なリスクを伴います。
- 企業価値・ブランドイメージの低下
- 優秀な求職者が応募を控える
- 現従業員のモチベーション低下や不信感の醸成
特に、事実に基づかない誹謗中傷や、過度に攻撃的な表現が含まれる口コミは、採用面だけでなく取引先や金融機関からの評価にも影響を及ぼしかねません。
このような場合、法的手段による対応を検討することが重要になります。
違法な口コミとはどのようなものか
すべてのネガティブな口コミが違法となるわけではありません。
問題となるのは、主に名誉毀損や侮辱に該当するケースです。
名誉毀損の成立要件(一般論)
- 具体的な事実を摘示していること
- その事実が虚偽、または真実であっても公共性・公益目的がないこと
- 企業の社会的評価を低下させる内容であること
侮辱に該当する例
- 「ブラック企業」「詐欺会社」など、根拠なく人格や評価を貶める表現
もっとも、違法性の判断は投稿内容・文脈・証拠関係によって大きく左右されます。
個別具体的な判断は専門的な法的検討を要するため、実際に対応を検討する際には弁護士へ相談されることを強くおすすめします。
口コミ削除の基本原則と重要なポイント
口コミへの対応は、投稿者が判明しているか否かによって、取りうる手段が大きく異なります。
1.投稿者が判明している場合
- 内容証明郵便等により、投稿者へ任意での削除要請・交渉
- 応じない場合には、損害賠償請求や差止請求の裁判提起を検討
2.投稿者が判明していない場合
- 削除のみを目的とする場合
→ 裁判所を通じた「送信防止措置仮処分」
- 投稿者を特定し、損害賠償も検討する場合
→ 「発信者情報開示請求」
- 裁判手続きを経ない場合(ただし違法性が明らかな場合が一般的)
→当該サイトに書面を送付するなどして削除、情報開示を求める
注意すべき点として、
「この社員が書いたに違いない」といった憶測で直接連絡することは極めて危険です。
投稿者が判明しているといえるためには、客観的資料や合理的な推認が必要であり、これは法的な判断領域となります。
むやみに動く前に、必ず法律家の判断を仰ぐべきです。
転職会議固有の注意点
転職会議では、ガイドライン上、削除対象となり得る投稿例が列挙されています。
しかし一方で、以下のような重要な注意点も明記されています。
- 原則として、口コミの削除は行わない
- 投稿者が退会しても、口コミは削除されず掲載され続ける
このため、
- 投稿者が判明していても、投稿者との交渉だけでは削除できない
- 転職会議側へ削除申請しても、伏せ字対応のみで終了するケースがある
- 投稿者がすでに退会しており、発信者情報が残っていない可能性もある
といった、他の口コミサイトにはない特有のハードルが存在します。
その結果、前述の②・③で述べた原則的な対応策だけでは不十分となる可能性が高く、
どの手段を選択すべきかは、個別事情を踏まえた高度な判断が不可欠となります。
転職会議の口コミ対応は、初動を誤ると打てる手段が大きく制限される分野であるため、早期に弁護士へ相談することが、結果的に最も早い解決につながります。
ネガティブな口コミの背景にある労務管理の見直し
実務上、転職会議で低評価が集まりやすい企業には、共通する労務上の課題が見られます。
法的対応と並行して、以下の点を見直すことも重要です。
⑴ 問題社員への対応
指導・懲戒の基準が不明確なまま放置されると、不満が口コミに表れやすくなります。また、そのような放置の対応について真っ当に稼働されている他の従業員が不満を抱き、退職につながると、これに合わせて投稿が行われるといった負の循環が生じます。
⑵ 残業代
未払い残業代や曖昧な管理は、最も口コミに直結しやすいポイントです。
⑶ ハラスメント
相談窓口が形骸化している企業ほど、外部サイトで不満が噴出します。
⑷ 評価・賃金制度
評価基準が不透明な場合、「不公平」「えこひいき」といった表現で拡散されがちです。
これらの問題を放置せず労務管理を徹底して改善することが、未然に問題となる口コミを防ぐことにつながります。
終わりに
― 弁護士に依頼するという選択
転職会議の口コミ対応は、
- 削除の可否判断
- 裁判手続の選択
- サイト運営者との交渉
- 将来的なリスク管理
まで含めた総合的な企業防衛策です。
誤った対応は、口コミの拡散や新たな投稿を招くリスクもあります。
現にお困りの口コミがある場合はもちろん、今後の採用・企業価値を守るためにも、
一度、企業法務に精通した弁護士へご相談されることを強くおすすめします。
特に弊所では、令和8年1月現在で80社を超える顧問先様との契約を締結しており、企業の実情に即した、最適な解決策をご提案しております。また、既存従業員様向けの福利厚生として法律相談を承るなどのサービスを展開しており、この点からも口コミにつながらない企業価値の改善、向上につなげることをご提案することができます。
お気軽にご相談をいただければと思います。
Last Updated on 2026年1月9日 by kakikomi.iclaw
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| この記事の執筆者:弁護士法人稲葉セントラル法律事務所 法律事務所でも誹謗中傷トラブルに遭うケースがありますが、弁護士として対応方法は分かっているものの、非常に大きなストレスを感じました。依頼者様への誹謗中傷の書込みを精査し対応する中、今でも誹謗中傷されたことに対し苦々しい思いを抱きます。この想いを抱く度、依頼者の方はもっと苦しんでいることを肌で感じ、なんとか今よりも良い状態にしよう、会社に損害が発生しないようにベストを尽くそうと強く思います。弊所では、これまでネット上の誹謗中傷問題に力を入れ、数多くの事件を解決して参りました。中でも、法人のお客様からのご依頼が多く、法人に対する誹謗中傷問題については、経験と問題解決のノウハウに強みを持っております。私たちは、投稿の削除に限らず、削除が難しい案件についても改善のため挑戦いたします。皆さまのストレスを少しでも減らすため、最善の解決方法を考えサポートいたします。 |



