Google口コミの投稿者が分かる場合、直接連絡や交渉をしてもよい?弁護士が解説

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はじめに

Google口コミや各種レビューサイトへの投稿に悩まされている事業者は少なくありません。その中でも、
「誰が投稿したのか見当がついている」
「投稿内容から特定の顧客だと思われる」
「直接連絡をして削除をお願いしたい」
このようなご相談をいただくことがあります。
では、口コミの投稿者が分かる場合、事業者が直接連絡を取ったり、削除を求めたりすることに法的な問題はないのでしょうか。
本記事では、口コミ投稿者への直接交渉の可否と注意点について解説します。

投稿者との直接交渉自体は違法ではない

まず、口コミの投稿者に対して直接連絡を取ること自体が直ちに違法となるわけではありません。
例えば、

・ 実名での投稿である
・ 実際に来院した患者であることが投稿内容とクレームとの整合性から明らかである
・ アカウント名、投稿内容や日時などから投稿者が特定できている

といった場合には、事業者が当該人物に対して事実確認を行ったり、投稿の修正や削除を依頼したりすることは一般的に考えられる対応です。
なお付言すれば、投稿者が明らかな場合には情報開示請求や投稿記事を削除する裁判の申し立てが、「投稿者とやりとりをすればよい。」として却下されることもあります。
問題となるのは、「本当にその人が投稿者であるといえるのか」という点です。

「この人だろう」だけで連絡することにはリスクがある

実務上、最も注意が必要なのは誤認です。
実際、弊所の取扱いで、依頼者様が「絶対にこの人が投稿者だ」と考えていたところ、慎重に判断しましょうということで情報開示を経た後、想定していた人物とは異なるケースが複数ございました。しかも、不特定多数の顧客ではなく、従業員の就活サイトの口コミの場合でもあったのです。つまり、それなりの限られた対象者であっても人違いが起こり得るということです。

• 投稿日時が近かった
• 内容が似ていた
• クレームを言っていた顧客だった
• 来店履歴と投稿内容が一致しているように見える

といった事情だけで、「この人に違いない」と決めつけることは危険です。
仮に誤認であった場合、本来口コミを書いていない顧客に対して、
「あなたが投稿しましたよね」「削除してください」
などと連絡することになります。
その結果、

• 顧客との信頼関係が壊れる
• 不快感や恐怖心を与える
• クレームやトラブルに発展する
• このミスを口コミに掲載される(しかも事実であるため削除できない)

といった事態が生じる可能性があります。

どの程度の確度があればよいのか

法律上、「何%の確率ならよい」という明確な基準はありません。
もっとも、実務的には、
「そうかもしれない」
という程度ではなく、
「周辺事情を総合すると、その人が投稿者であると合理的に判断できる」レベルであることが望ましいと考えられ、最終的にはここは法律評価であり法律の専門家が判断することになります。
もっとも、一応特定できた場合であっても、やはり法律の手続きをとっていないため、高圧的な対応は避けるべきです。

公開の場で反論する場合はさらに注意が必要

事業者が口コミに返信するケースもあります。中には、クチコミ対応を専門にする業者、コンサルが介入し、「実名で反論しましょう」と助言をするケースもあると聞きます。
しかし、公開返信には別の法的リスクがあります。
例えば、
「あなたは、〇月〇日に来院した患者ですよね」「診療内容はこうでした」「料金について説明済みですから口コミは違法です」
などと反論した場合、投稿者の個人情報や利用事実を第三者に明らかにしてしまう可能性があります。特に守秘義務が課せられる医療機関、士業事務所などでは注意が必要です。
仮に相手が先に口コミを書いていたとしても、事業者側が顧客情報を公開してよいことにはなりません。
場合によっては、

• プライバシー侵害
• 守秘義務違反
• 個人情報保護上の問題

などが指摘される可能性があります。
そのため、公開返信は一般論にとどめ、個別事情に踏み込まないことが重要です。

「逆炎上」のリスクも考慮するべき

法的な問題だけではありません。
近年では、事業者が口コミ投稿者を追及したこと自体がSNSで拡散されるケースもあります。
事業者としては正当な対応をしたつもりでも、
「口コミを書いたら連絡が来た」「圧力を受けた」「脅迫でした」
と受け止められることで、さらなる批判につながることがあります。
結果として、元の口コミ以上の風評被害が生じることもあります。
口コミ対応では、法的に正しいかどうかだけでなく、社会的な受け止め方も考慮する必要があります。

まとめ

口コミの投稿者が分かる場合であっても、直ちに連絡してよいとは限りません。
もっとも、周辺事情を総合して、その人物が投稿者であると合理的に推認できる場合には、事実確認や削除依頼などの直接交渉を行うこと自体は直ちに問題となるものではありません。
一方で、「おそらくこの人だろう」という程度の推測で連絡を行うと、無関係の顧客との関係悪化やクレーム、逆炎上などのリスクがあります。
また、公開の場での反論はプライバシー侵害等の問題を生じさせる可能性もあります。
口コミへの対応は、投稿内容の違法性だけでなく、投稿者の特定可能性や対応方法も含めて慎重に検討することが重要です。不安がある場合には、対応を行う前に弁護士へ相談することをおすすめします。

Last Updated on 2026年6月29日 by kakikomi.iclaw

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    この記事の執筆者:弁護士法人稲葉セントラル法律事務所
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