近年、医療機関におけるカスタマーハラスメント(いわゆるカスハラ)が社会問題となっています。歯科医院は地域密着型の医療機関であることが多く、患者様との距離が近い分、トラブルが深刻化しやすい傾向があります。
「何度説明しても納得せず、執拗に返金を求めてくる」
「スタッフに対して人格否定や威圧的な言動を繰り返す」
「SNSや口コミサイトへの投稿をほのめかして圧力をかけてくる」
このようなケースでは、医院側が精神的にも業務的にも大きな負担を負うことになります。本記事では、歯科医院が悪質なクレーマーに対して法的措置を検討する際のポイントや具体的な方法、注意点について、弁護士の視点から詳しく解説します。
カスハラとは
カスハラとは、「顧客」という立場を利用して、社会通念上相当な範囲を超える要求や言動を行う行為を指します。正当な苦情や改善要望とは異なり、目的が不当な利益の獲得や感情の発散にある点が特徴です。
歯科医院で実際に問題となる例としては、次のようなものがあります。
• 治療結果に納得できないとして、医学的根拠を無視した返金要求を繰り返す
• 長時間にわたり受付や診察室で怒鳴る、居座る
• スタッフに対して侮辱的な発言をする
• 「SNSに悪評を書き込む」と脅す
• 不相当に高額な慰謝料や無料再治療を要求する
もちろん、治療内容に問題がある可能性があれば誠実に調査・説明を行う必要があります。しかし、明らかに行き過ぎた言動や脅迫的要求については、医院が一方的に我慢する必要はありません。法的に対抗できる場合があります。
クレーマーを訴えるために必要なこと
クレーマーを訴えるには、感情ではなく「証拠」と「法的構成」が重要になります。
(1)証拠の確保
法的措置を取るためには、客観的証拠が不可欠です。例えば、
• 面談時の録音データ
• 防犯カメラの映像
• メールやLINEのやり取り
• 診療録(カルテ)
• スタッフの報告書・陳述書
特に、暴言や脅迫的発言があった場合には録音が有力な証拠になります。日頃からトラブル発生時の記録体制を整えておくことが、将来的な紛争予防につながります。
(2)違法性の検討
次に、その行為が法的に違法と評価できるかを検討します。代表的な法的根拠は以下のとおりです。
• 不法行為(民法709条)
• 名誉毀損
• 業務妨害
• 脅迫・強要
単なる感情的な発言なのか、違法行為に該当するのかは専門的判断を要します。早期に弁護士へ相談することで、適切な対応方針を立てることが可能になります。
クレーマーを訴える方法
クレーマーへの法的対応は、大きく「民事」と「刑事」に分かれます。
(ア) 民事での対応
民事手続では、主に損害賠償請求や差止請求を行います。
① 損害賠償請求
以下のような損害が対象になり得ます。
• スタッフが受けた精神的苦痛(慰謝料)
• 業務妨害による売上減少
• 対応のために要した費用
例えば、虚偽の口コミ投稿によって患者数が減少した場合には、信用毀損に基づく損害賠償請求が認められる可能性があります。
② 差止請求・投稿削除請求
SNSや口コミサイトへの悪質な投稿がある場合、投稿削除や再発防止を求めることができます。
まずは内容証明郵便で警告を行い、任意に削除されるケースも少なくありません。訴訟に至らず解決できることも多いため、戦略的な対応が重要です。
(イ) 刑事での対応
悪質性が高い場合には、刑事責任を追及することも検討します。
該当し得る犯罪としては、
• 脅迫罪
• 強要罪
• 名誉毀損罪
• 威力業務妨害罪
などがあります。
例えば、診療を妨害する目的で大声を出し続ける行為は威力業務妨害に該当する可能性があります。警察への被害届提出や告訴を行うことで、強い抑止力となる場合もあります。
クレーマーを訴える際の注意点
法的措置は有効な手段ですが、慎重な判断が必要です。
(1)医療過誤の可能性を精査する
まず、医院側に説明不足や医療ミスがなかったかを客観的に検討する必要があります。もし改善すべき点がある場合には、誠実な対応を優先すべきです。
(2)感情的にならない
院長やスタッフが感情的に反論すると、証拠として不利になる場合があります。窓口を一本化し、記録を取りながら冷静に対応する体制を整えましょう。
(3)風評リスクの検討
訴訟提起が新たな炎上を招く可能性もあります。法的正当性だけでなく、経営的視点からの総合判断が重要です。
稲葉セントラル法律事務所が選ばれる理由
稲葉セントラル法律事務所では、歯科医院をはじめとする医療機関のトラブル対応に力を入れています。
① 医療現場への深い理解
医療広告規制や説明義務、カルテ管理の重要性など、医療特有の法的問題を踏まえた助言を行います。
② 迅速な初動対応
クレーマー対応は初動が重要です。警告書の作成や内容証明郵便の送付、刑事手続の検討などをスピーディーに行います。
③ 予防法務の充実
トラブル発生後の対応だけでなく、クレーム対応マニュアルの整備やスタッフ向け研修など、予防的なサポートも行っています。
「訴えるべきか迷っている」という段階でもご相談いただけます。
お気軽に弁護士にご相談を
悪質なクレーマーへの対応を放置すると、
• スタッフの精神的負担の増大
• 離職リスク
• 医院の評判低下
• 本来の診療業務への支障
といった深刻な影響が生じる可能性があります。
一方で、適切な法的対応を行えば、被害拡大を防ぎ、医院の秩序と安心できる診療環境を守ることができます。
クレーマー対応でお悩みの歯科医院の皆さまは、ぜひ一度、稲葉セントラル法律事務所へご相談ください。
早期のご相談が、最適な解決への第一歩となります。
Last Updated on 2026年2月15日 by kakikomi.iclaw
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| この記事の執筆者:弁護士法人稲葉セントラル法律事務所 法律事務所でも誹謗中傷トラブルに遭うケースがありますが、弁護士として対応方法は分かっているものの、非常に大きなストレスを感じました。依頼者様への誹謗中傷の書込みを精査し対応する中、今でも誹謗中傷されたことに対し苦々しい思いを抱きます。この想いを抱く度、依頼者の方はもっと苦しんでいることを肌で感じ、なんとか今よりも良い状態にしよう、会社に損害が発生しないようにベストを尽くそうと強く思います。弊所では、これまでネット上の誹謗中傷問題に力を入れ、数多くの事件を解決して参りました。中でも、法人のお客様からのご依頼が多く、法人に対する誹謗中傷問題については、経験と問題解決のノウハウに強みを持っております。私たちは、投稿の削除に限らず、削除が難しい案件についても改善のため挑戦いたします。皆さまのストレスを少しでも減らすため、最善の解決方法を考えサポートいたします。 |



