飲食業の誹謗中傷問題と顧問弁護士による対応策-業種別の口コミ対応-

飲食業の誹謗中傷問題と顧問弁護士による対応策

飲食業は人々の営みを支える核となる分野ですが、口コミ時代の到来により、一つのネガティブな評価が店舗の運命を一変させる力を持っています。

ネット上の評価トラブルや誹謗中傷にどのように立ち向かうかは、今の飲食店にとって切実な課題です。

そこで、今回は、飲食業特有の問題点や、それに対する効果的な対処法、さらには専門家としての弁護士の役割とメリットを詳細に解説します。

 

1.口コミ時代における飲⾷業の特徴

 飲食店は、そのサービスやメニュー、料理の質をもとにお客様の口コミで評価される業界であり、店舗の運営においては、食べログをはじめ、GoogleやRettyなどの外食サイトのアカウント管理が必要不可欠となっています。

開業当初から、集客対策や投稿データの管理、特定の利用者からの口コミ対応など、多くの時間と労力を要することが常です。

特に、コロナの影響で外食業界が大きな変化を遂げた今、他の競合店舗との差別化を図るための口コミ対策が一層重要となっています。

 

2.飲⾷業において発生しやすい口コミトラブル

2-1. 口コミサイトのリスクとお客様の不満の原因

飲食店の運営者として、口コミサイトの影響を軽視することはできません。特に食べログやGoogleのレビュー機能など、多くの人が利用するサイト上での投稿は、店舗の集客に大きな影響を与える可能性があります。

一方で、お客様の不満やクレームをリアルタイムで投稿できるネットの環境は、誹謗中傷や事実と異なる内容が書き込まれるリスクもはらんでいます。実際に、不当な投稿に悩む飲食店も多いのです。

誹謗中傷や悪い評価を書き込む方の大半が、お店での接客サービスに起因しています。本当に些細なことや、お店側には全く落ち度がなかったことでも、受け手側であるお客様が気に入らないと感じてしまうと人によっては誹謗中傷となるような悪質な書き込みをしてしまう方も見受けられます。

悪い評価をされないためにも今一度経営する店舗の接客サービスに問題はないか、お客様が満足される対応がなされているのかを再検証することが重要ですし、また、常にネットのレビューやSNSの書き込みを監視し、誹謗中傷とも捉えられる酷い口コミが書き込まれた場合に備え、適切な対処法を事前に用意しておくことが必要です。

 

2-2. ネットのガイドラインと飲食店の営業妨害

インターネット上での表現の自由は大切ですが、各口コミサイトでは、ガイドライン違反や法的に問題のある内容の投稿は禁止されています。飲食店にとって、誹謗中傷や事実と異なる投稿は、営業妨害となりえます。

特に、誤った情報や悪質な書き込みが掲載されると、その被害は計り知れません。多くのサイトやSNSは、違反内容の投稿を削除するガイドラインを設けていますが、運営会社への問い合わせや削除依頼の方法は一様ではありません。

そのため、具体的な問題が生じた場合、弁護士や専門家への相談が考えられます。正確な法的判断を受け、適切な対応をすることで、飲食店のリスクを最小限に抑えることが可能です。

 

3.飲⾷業の誹謗中傷・口コミトラブルの具体例

3-1. 食べログにおけるアルゴリズム変更と独占禁止法違反の事例

近年、飲食業界での口コミの影響力は増しており、その正確さや公平性が求められるようになっています。特に、大手レビューサイトの操作や変更に対する懸念が高まっており、ニュースでも報じられています。以下は、その中でも特に注目された、食べログにおけるトラブルの具体例についての詳細です。

2023年6月16日、東京地裁は食べログを運営するカカクコムに対して、韓国料理チェーン店「KollaBo」の展開元である「韓流村」からの訴えを認め、3840万円の損害賠償を命じる判決を下しました。これは飲食店の評価を不当に操作するアルゴリズム変更が独占禁止法違反に当たると認定された、初の事例となります。

食べログは、日本で最も利用されるグルメレビューサイトとして、飲食店の集客活動において中心的な役割を果たしています。しかしその信頼性に疑念が投げかけられる事態となった背景には、2019年5月のアルゴリズム変更がありました。この変更により、特定のチェーン店の評価が低下し、その結果として売上に大きな影響を受ける事態となったのです。

韓流村の事案では、韓流村の評価は、アルゴリズム変更前は3.51点であったものが、変更後には3.06点へと低下しました。この事実を基に、韓流村はカカクコムを提訴。そしてこの裁判の結果、飲食店の評価を不当に操作する行為が、法的にも認められないことが明確となりました。

この判決を受け、食べログ側も評価の透明化やアルゴリズムの是正を行う方針を発表しています。飲食業界における口コミサイトの影響力とその責任が改めて問われることとなり、今後の展開に注目が集まっています。

 

3-2. Googleマップにおけるネガティブな口コミの事例

Googleマップ上での口コミも飲食店の売上に大きな影響を持ちます。ある店舗では、特定のユーザーによって誹謗中傷的な口コミが繰り返し投稿されていました。該当の投稿には、誤った情報や事実と異なる写真が掲載され、店舗の評価を大きく下げる原因となっていました。店舗側はGoogleへの削除依頼と、必要に応じて投稿者に対する法的な対応も検討。

結果として、違反内容の投稿は削除され、アルゴリズムによるページの評価も正常に戻りました。

 

3-3. SNSプラットフォーム上の誹謗中傷・口コミトラブル事例

SNS、特にインスタグラムは、飲食店の販促活動において欠かせないツールとなっています。しかしある店舗が、インスタでの誹謗中傷的な書き込みに悩まされる事例が発生。特定のアカウントが店舗や料理を非難する投稿を繰り返し、その結果、フォロワー数の減少や売上への悪影響が見られました。

店舗は弁護士の依頼を通じて、SNSの運営企業へ対応を求め、事実確認の結果、問題のアカウントは凍結されました。

 

4.飲⾷業の誹謗中傷・口コミトラブルへの対処法

4-1.食べログ等のグルメレビューサイトの削除依頼方法

食べログやその他のグルメレビューサイトは、多くの利用者の声を収集する一方で、誹謗中傷や不適切な投稿が散見されるため、独自のガイドラインを設定しています。これらのガイドラインはサイトの利用者が守るべきルールを明文化したもので、投稿の内容がガイドラインに違反すると判断される場合、削除の対象となることがあります。

以下は食べログの口コミ削除の依頼方法です。

 

①食べログのサイトにアクセスし、該当する口コミページを開きます。
②口コミの右下にある「問題のある口コミを連絡する」ボタンをクリックします。
③口コミ削除依頼フォームに必要事項を入力します。

「お問い合わせ内容」に具体的かつ明瞭に理由を説明することが非常に重要です。例えば、「この投稿は事実に基づいていない」とだけ記述するのではなく、「この日の営業は行っておらず、記載されている事象は発生していない」といった具体的な説明を行うと良いでしょう。

 

※注意点
食べログや他のレビューサイトのガイドラインは、公平性を保つために非常に厳格に設定されていることが多いです。したがって、単に自店の評価が低い、あるいは気に入らないという理由だけでの削除依頼は、通常、認められません。

そのため、削除依頼を行う際には、その投稿がガイドラインに明確に違反していること、またはその投稿が事実に基づいていないという点をしっかりと示す必要があります。

 

4-2.誹謗中傷の内容の特定と具体的な対応

飲食店がネットで誹謗中傷に遭遇する場合、その対応は煩雑かつ専門的なものとなります。ここでは、その具体的な流れを紹介します。

 

①内容の特定

最初のステップは、投稿内容が事実に基づいていない誹謗中傷であると確定することです。これには、投稿の日時、内容、投稿者の情報などを詳細に記録することが求められます。

 

②食べログ等のサイトのガイドライン確認

グルメサイトは独自のガイドラインを持っており、これに違反するような投稿は削除の対象となり得ます。ただし、削除リクエストを出しても、サイト側の判断で削除されないことも多々あります。このため、飲食店はガイドラインを十分に理解しておく必要があります。

 

③削除の仮処分申立て

サイト管理者に投稿の削除を求めても対応してもらえない場合は、裁判所に対して削除の仮処分の申立てを行います。投稿された内容が、事実に反することなどを疎明する必要があり、申立が認められると、裁判所がサイト管理者に削除するよう命じます。

 

発信者情報開示請求

悪質な投稿者に対して、何らかの法的措置を取りたく、その投稿者の特定が困難な場合、裁判所に情報開示請求を行うことで、投稿者のIPアドレスや登録情報の提供を求めることができます。

 

損害賠償請求

投稿者が特定できた場合、その投稿によって受けた損害の補填を求めるために、損害賠償請求を提起することが可能です。訴えが認められるためには、投稿された内容がどのように法律に反しているのか、損害の具体的な金額や、その計算方法等を明確にする必要があります。

 

このように、誹謗中傷の対応は複数のステップを経て進められますが、飲食店としては、事前の対策や早期の対応が大切です。そして何よりも、専門家や弁護士との連携を深め、適切なアドバイスを受けつつ対応を進めることが求められます。

 

4-3.飲食店が取るべき予防策

情報が氾濫する現代において、飲食店はネット上のリスクから自らを守るための対策が必要です。まず、自店の名前や料理名を定期的にGoogleやSNSで検索し、ネガティブな情報や誹謗中傷の書き込みがないかを確認しましょう。

次に、店舗の公式サイトやSNSアカウントを適切に運営することも重要です。これにより、真正の情報を顧客に提供し、誤解や悪意のある情報の拡散を防ぐことができます。また、SNSのガイドラインや利用規約を確認し、違反投稿があった場合の対処法を知っておくことも有効です。

また、トラブル発生時には冷静な対応が求められます。悪質な書き込みやネガティブな口コミに直接反応せず、法的な手段や適切な対策を考えることが重要です。必要に応じて、専門家や弁護士との相談を積極的に行い、的確な対処を心掛けましょう。

 

5.飲食業の誹謗中傷・口コミトラブルでお困りの方へ

5-1.法律事務所への依頼のポイント

誹謗中傷や口コミトラブルのような突発的な問題に遭遇した際、店舗経営者や事業者として最適な対応を求められます。その際、適切な法律相談所や専門家の選択は非常に重要です。

 

ポイント①:専門性

トラブルの内容や飲食業の特性によっては、特有の知識や経験が必要です。過去の事例や対応経験が豊富な専門家を選ぶことで、効率的なサポートを受けられます。

 

ポイント②:対応速度

トラブル発生時には時間が迫っていることが多いため、迅速な対応ができる専門家や法律相談所を選ぶことが求められます。

 

5-2. 顧問弁護士に依頼するメリット

 

メリット①:常時対応

顧問として契約している弁護士は、常時あなたの店舗や事業の問題状況を理解しているため、迅速な対応が期待できます。

 

メリット②:事前の予防

問題やクレームを事前に回避するためのアドバイスやチェック、またはリスクの評価を行ってくれます。

 

メリット③:コスト

顧問契約をしておくことで、顧問契約の内容によっては通常の顧問料の範囲内で対応することができ、スポットで弁護士に依頼するよりも弁護士費用は安く抑えられ、費用などのコストも削減することが期待できます。

 

口コミ問題もそうですが、店舗経営者や事業者として、ビジネスを行うにあたり日常業務の中で多岐にわたる問題やクレームが発生します。これらの対応に追われ、本来の経営業務に専念できないと悩まれている経営者の方は多いかと思います。

特に中小企業や個人経営者の場合、専任の法務担当者が不在のことが多いため、外部の専門的なサポートが不可欠です。顧問弁護士による適切なサポートを受けることで、事業としてのリスクを最小限に抑え、安定した経営を継続することが可能になります。

 

稲葉セントラル法律事務所の実績豊富な弁護士は、誹謗中傷・口コミトラブル等の法的な課題を理解し、適切な対策を提供することで、経営の安定化と成長をサポートしています。

問題に直面した際は、私たちの専門知識と経験を活用して、最善の解決策を見つけてみませんか。

詳細については、お気軽にご相談ください。皆様の問題解決に全力で取り組みます。

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Last Updated on 2024年5月9日 by kakikomi.iclaw

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    この記事の執筆者:弁護士法人稲葉セントラル法律事務所
    法律事務所でも誹謗中傷トラブルに遭うケースがありますが、弁護士として対応方法は分かっているものの、非常に大きなストレスを感じました。依頼者様への誹謗中傷の書込みを精査し対応する中、今でも誹謗中傷されたことに対し苦々しい思いを抱きます。この想いを抱く度、依頼者の方はもっと苦しんでいることを肌で感じ、なんとか今よりも良い状態にしよう、会社に損害が発生しないようにベストを尽くそうと強く思います。弊所では、これまでネット上の誹謗中傷問題に力を入れ、数多くの事件を解決して参りました。中でも、法人のお客様からのご依頼が多く、法人に対する誹謗中傷問題については、経験と問題解決のノウハウに強みを持っております。私たちは、投稿の削除に限らず、削除が難しい案件についても改善のため挑戦いたします。皆さまのストレスを少しでも減らすため、最善の解決方法を考えサポートいたします。

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